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ラオス内視鏡検診

2024年1月5日から10日までラオスのルアンパパン郡でピロリ菌陽性者に対して上部内視鏡検診を行いました。令和 5 年度 医療技術等国際展開推進事業 に採択された事業の一環ですが、その様子を本法人会員阪口昭先生に2回に分けてご報告いただきます。


2022年HIGANの仕事で初めてラオス・ビエンチャンを訪れてから、1年半ぶりのラオス行。今回は内視鏡検診をラオス医師に教育するのが主目的。40年以上内視鏡医をしてきた私であるが、実はこの2年間で1例しか内視鏡検査をしていないという事実、本当にできるのかという不安を抱えての出発であった。実はこっそり内視鏡教科書を年末に読み直したりしておりました。


2024年1月4日(木曜日)入国

大分から山岡先生、東京から鴨川先生、和歌山から私の三人は、バンコクから同じ飛行機でビエンチャンに到着。空港には癌センター所長ペサモンド先生と同疫学部シャンパドング先生が待っていてくれ、ホテルまで送っていただき、翌日からの研修の打ち合わせを行いました。


1月5日(金曜日)プロジェクト初日

朝9時から、癌センター会議室でプロジェクト初日開始。最初に山岡先生からピロリ菌と胃癌・人類の歴史についての講義があり、その後今回の内視鏡検診の内容説明が行われました。

内視鏡検診地は、ラオス古都ルアンパバーンの県立病院です。


1月6日(土曜日)検診地への移動

ビエンチャン駅から高速鉄道で検診チームはルアンパバーンに到着。この町は町全体が世界遺産として登録されています。


1月7日(日曜日)検診準備の日

午前9時、スタッフ全員がルアンパバーン県立病院に集まり、翌8日からの検診のため、機材や物品の確認・設定を行いました。メンバーは、ラオス人、タイ人、日本人の多国籍チーム約15人。癌センターのシャンパデング先生が責任者で、内視鏡医4名(ラオス人2名、日本人2名)、研修医2名、看護師1名、オリンパス社関係者6名。そこに県立病院の先生や看護師の皆さんが協力してくださいました。

予定患者数は、大便の抗原検査でピロリ菌が陽性であった40歳以上の105名。抗原陽性率は約24%(138/579)とあまり高くはありません。

今回の検診ではオリンパス社の協力をいただき、EVIS EXERAIIIが1台とGIF-HQ190が1本、GIF-H190が2本を用いました。県立病院の胃内視鏡は4年前故障してから修理の予算がつかないので、4年間検査不可能となっていました!


1月8日(月曜日)検診第一日です。

午前8時半、ルアンパバーン県立病院長と面会、9時から検診開始の予定でしたが、なんと昨日確認したにも関わらず、内視鏡室に電気が来ない!回復のめどが立たないために、急遽検査室は、手術室に変更となりました。すべての機材・物品を手術室に移動させること約1時間、やっと朝10時検診開始にこぎつけることができました。最初の患者さんは私の担当となり、数ヵ月ぶりの内視鏡。さてどうなるのか、と思っている間に挿入・観察・生検採取4個と順調に進みました。内視鏡経験のある4人が順番に担当して、研修医と県立病院の先生もそれに参加し研修します。どの先生も丁寧に観察するため1人にかかる時間は、6分から10分。内視鏡の洗浄もきっちりしてくれるので、3本の内視鏡では、検査の合間が5分くらいとなって、1時間で約4人から5人の検査ペースとなりました。Water Jet、NBIが使え、記録はUSBメモリーにできるのでほぼ日本と同じレベルの検診となりました。合併症もなく32名施行し、午後6時終了。うち2名は肝硬変が疑われたため、生検は2個のみとなりましたが、それ以外の方は全員予定通り、各4個の生検が施行されました。それぞれピロリ菌培養、ピロリ菌核酸検査による耐性菌検査、胃粘膜組織検査に回され、これらのサンプルは後ほど大分大学にてラオス国立癌センターの病理医がピロリ菌解析研修を受けて行う予定になっています。


1月9日(火曜日)検診第二日

この日は午前8時から検診開始。初日と同じ方式で検査を行います。検査が止まらないようにそれぞれ空いた時間に昼食をかき込んで、持ち場に戻るという頑張りで、合併症なく36名行って、午後5時に終了。


1月10日(水曜日)検診第三日(最終日)

午前8時半開始、この日はキャンセルが多くて23名のみ施行し、午後2時に終了した。三日間で合計91名を施行。総じて萎縮性胃炎の程度も軽く、強く胃癌を疑う症例もありませんでした。培養検査の検体はマイナス80℃の冷凍庫での保存がベストとのことで、山岡先生は検査をしながら、検体を検査室へ運ぶ仕事もされ大忙しでした。


1月11日(木曜日)帰国

午前9時にホテルをチェックアウトして、大切な検体を県立病院まで取りに行ってから、ルアンパバーン駅に向かいます。列車の予約が入っていないというハプニングもあったけれど、次発になんとか乗車でき、ビエンチャン駅に夕方到着。駅からはシャンパドング先生の奥さんの運転する車で帰宅時間の大渋滞に巻き込まれながらも空港に滑り込みセーフ。無事予定の飛行機に乗れました。続きは次回のブログで。




写真上段左:ルアンパパン県立病院、中央:病院長らとの面会、右:検査室の前の廊下で前処置

写真下段左:研修医の先生、中央:研修医の先生、右:研修終了時記念写真

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