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ブータンで胃癌病理診断セミナー(その2)

2023年3月にブータンで行われた八尾隆史先生の病理学セミナー記(連載)その2ー胃生検病理診断指導ーです。3回の連続掲載です。ブータンの食べ物の記録も!


胃癌の病理診断セミナーはJigme Dorji Wangchuck National Referral Hospitalで開催され、2日間プログラムは私一人に全て託された。ブータン全国の病理医7名全員参加してくれた。全国で7人は少ないと思われるが、日本の病理医が少ない県と同等の人口比であり、むしろ全医師数(約200人)からすると割合はかなり多いことになる。

日本以外では癌の病理診断基準は欧米式であり、浸潤像や低分化の像がないと癌とは判定されない。早期の胃癌ではそのような所見のないものも多く、細胞像で癌と判定する必要がある。また、炎症で傷害を受けた粘膜細胞は癌に類似した細胞像を示すことがあり、ヘリコバクター感染により傷害を受けた胃粘膜の生検診断はしばしば難しい。

セミナーは胃癌の日本式診断基準の講義から始め、私が持参した胃生検5症例を各自で診断してもらい、正解と組織所見の見方を解説し、討論を行った。その後は現地の患者さんからの胃生検組織を私が検鏡して、診断と解説、質疑応答を延々と行った。特殊な症例や難しい症例の判定の仕方を学ぶことは実力をつける上で重要であるが、日常の症例から学ぶことのほうが現実的で基本を学ぶには適している。実際、個々の症例で納得いくまで質疑応答を行うことで、講義のみでは学べない具体的な診断過程が修得できたと思われ、かなり充実した研修になった。

 また、彼らの習慣として、午前と午後にティータイムがあり、皆で集まりサモサやケーキを食べながらお茶を飲むのであるが、忙しい中でも気が休まり親睦も深まるいい習慣だなと思った。



上段左;ブータン医科大学の前で

上段中;セミナー開始前

上段右;セミナーのプログラム

下段左;セミナーの様子

下段中;テイータイム

下段右;セミナー終了、参加者と一緒に





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