押味和夫先生インタビュー(名医をめざしてーその5)

June 9, 2017

押味和夫先生 E mailインタビュー、今回は先生達が日本から世界に発信することになったリンパ腫の治療法について伺います。

 

 

Q: 和気藹々となった順天堂大学血液内科でのお仕事はいかがだったでしょうか?

 

 順天堂の血液内科は、多くの若手が入局してくれたお蔭で徐々に充実しました。また悪性リンパ腫の病理は、月に2回、東大医科研の森 茂郎教授に直接ご指導いただいたお蔭で、リンパ腫への理解が一段と深まりました。

そして、ライフワークとなったNK腫瘍の研究は、新しい治療法の開発という意外な方向へ発展しました。製薬会社キリンにいた友人、下坂皓洋君にお願いしてキリンがスポンサーになってもらい、NK腫瘍研究会を作ったのです。最初は正常NK細胞やNK細胞由来の悪性リンパ腫や白血病について、国内外から専門家を呼んで話を聞きました。アンケート調査で日本のNK細胞腫瘍の実態を掴もうとしました。そしたら、一緒に会を立ち上げた河 敬世・中村栄男両先生が、NK腫瘍治療の臨床研究をやろうと提案したのです。意外でした。私はそこまでは考えていなかったのです。そこで、順天堂で試行錯誤してきたNK細胞リンパ腫の多剤併用化学療法のプロトコールを基に、栃木県がんセンターの加納康彦先生に5種類の抗がん剤の投与順と投与量を決めてもらい、アジア規模で第1相試験を始めることにしました。この腫瘍は日本にもありますが、韓国や中国にさらに多いためです。

 

Q: ということは活動は順天堂大学内のみならず他施設の医師の参加により、日本からさらに発展してアジアまで広がったのですね?

 

はい。ここで凄かったのが、すでに合流していた若手の信じられないほどの活躍でした。鈴木律朗、山口素子、鈴宮淳司、石田文宏、伊豆津宏二、竹内賢吾らの諸先生が治療プロトコールを書き、英語に翻訳し、香港のProf. YL Kwong, ソウルのProf. WS Kimらと連絡を取りながら、率先して臨床試験を始めたのです。予想以上に試験は早く進み、素晴らしい治療成績が得られました。臨床統計の手法を駆使したまとめ方も見事でした。これがSMILE療法です。

最初私は5種類の抗がん剤の頭文字をとってこのプロトコールに変な名前を付けたのですが、鈴木律朗先生がデキサメサゾンはステロイドなのでDの代わりにSに置き換えるとSMILE療法という名前になると言ったのです。このネーミングは最高でした。もうこれでこの臨床試験は絶対に成功する、そう確信しました。そして世界へ向けた新しい治療法が発信できたのです。アメリカをやっつけたぞ、というほどではありませんが、アジアがまとまって世界レベルのプロトコールが完成したのです。これはすべて、この研究に参加した若手の力によるものでした。私は彼らの信じられないほどの馬力を、ただ呆然と見ているだけでした。円空が刻んだ木像(写真参照)を借りて、SMILE療法を宣伝したぐらいでした。

 

続きます。

 

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