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医師としての腕を磨く為に


新米の医師だった頃、早く一人前の医者になる為に役に立った事の一つは、現代では非効率的と言われるかもしれませんが、病棟にいる事だったように思います。普通の会社と違って病院は夜でも入院患者さんはいて、急に体調が悪化することがあります。その際には、そこに居れば少なくとも事態の解決方法を見て学ぶ事が出来たし人手も少ないので手伝わせてもらえます。医師の仕事は結構職人っぽいところがあると私は思っているので、ちょっとしたことでもこの人はこんな風に工夫するのかと見るのは勉強になり、また自分の目で実際に見て触れたことは概して忘れにくいものです。最近夜中にお産を見る機会があり、陣痛を待つ間、シンと静まった夜中の病棟で(私自身は病棟を持つ臨床から長らく離れていたのですが)その瞬間を私はすごく懐かしい気持ちで思い出し、私はこの瞬間を好きだったのかもしれないと感じたことがありました。

ただこれを一生続けるのは辛いし、家族を持って用もないのに長く病院にとどまるのは、オススメはできませんが、卵の時は自分の時間が許す範囲でできるだけ積極的になんでも見てやるという心意気を持つことは自分を磨く上で大事なことだと思います。病院を今言うブラックな職場にしないために大切なのはおそらく働く者同士の情報と感情の共有なんじゃないかと思います。教え上手で仕事が好きな先生がいたらそばで観察して腕をあげるチャンスです。もちろん今はビデオやネットでの視聴なども助けになると思います。

点滴や注射といった一見単純な仕事も数をこなすと、コツを見つけることができ、うまくいくようになると確実に患者さんの信頼が得られるようになります。そしてまた、患者さんにも喜ばれ、実は医師としての感を養うのに大事なのは、実際に患者さんと毎日話したり診察したりする事だったりします。(これは自分が患者になった経験があるとよりよく理解できるようになります)今では、CT、MRIやエコーといった機器や、血液のデータがあればいわゆる診察で見ただけではわからない正確な診断ができると思いがちです。でも、患者さんを見て何かおかしいと気付いて先手を打っていく事も大事だし、話を聞いている時に病気のヒントをもらうことも多いし、何より医師と話すことによって患者さんに安心してもらうのもとても大事なことです。

どこでも最先端の検査ができるとは限らない。街中で倒れた人を見なければならない時もあるでしょうし、設備の整っていない所で診療しなければならない事もあるでしょう。そんな時検査できないから何もできない、人を助けられない、ということがあったら残念ではありませんか?(写真はインドカシミール地方クプワラ付近です)

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