2023年7月に国立研究開発法人国立国際医療研究センターが主体となって実施 する厚生労働省より委託された令和 5 年度 医療技術等国際展開推進事業 に採択された事業としてラオスビエンチャンにて上部内視鏡研修を行いました。その様子を福岡大学筑紫病院内視鏡科の金光先生にご報告いただきました。
2023年7月3日から4日の2日間ラオスでの内視鏡医育成プログラムに参加させて頂きました。当初、お話を頂いた時、「自分でお役に立てるのだろうか…。」と不安になりました。英語のつたない私が、海外で内視鏡指導をするなど途方もないことのように思えたからです。ボスである八尾建史先生からは自施設で後輩を指導する時のように指導すればいいと言われてはおりましたが、うまくいくものかと緊張しながら当日を迎えました。
ラオスのセタテイラート病院は大変新しい病院で若い内視鏡医、看護師、技師のみなさんにキラキラした目で迎えて頂きました。初日の午前は 4名の患者さんに対して実際にスクリーニング上部消化管内視鏡検査をハンズオン講義しました。ついつい熱が入り、 微妙なニュアンスやコツを伝えようとするとするのですが、全く言葉がでてきません。あっぷあっぷしていると同伴下さった鴨川先生が適切に英語でコメントを下さり、途中からは先生に頼りきりで、ほとんど日本語や擬音、ジェスチャー主体の説明となっていたように感じます。胃の隅から隅までを系統的に観察するSystematic screening programがラオスの皆さんに少しでも伝わってくれたら幸いです。
午後からは事前に準備していた資料をもとに内視鏡止血術の講義を行いました。 2日目午前は再び上部スクリーニング検査の指導を行い, 午後は EZクリップを用いたクリッピングのハンズオンを行いました。事前に豚の食道・胃・十二指腸を用意して頂いて、かなり実際の手技に近い経験をしてもらったものと思います。まずはクリップの着脱を医師、コメディカルの皆さんと行いました。ラオスではクリップひとつも大変高価なものであり、無駄にしては大変だとほとんどの参加者は触った経験がなかったようです。鴨川先生が大量にクリップを用意して下さっていたので、何度も何度も慣れるまでクリップと触れ合って頂きました。そして若い内視鏡医には胃の各部位に対してクリッピングの難易度を設定した上で、こちらも何度も手技を繰り返してもらいました。みるみるうちに上達していくので、日本でもこのような機会がもっとあればいいのになと羨ましくなるほどでした。豚のモデルを用いればさらに内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術も指導可能であり、今後の活動の広がりに期待が持てました。
今回は 2日間という非常に短期間な研修でしたが、私自身大変良い経験をさせて頂きました。内視鏡手技を上達したい、胃癌を減らしたいという気持ちは日本もラオスもかわらないのだと肌で実感できました。また、このようなチャンスを頂けるのなら、もう少し英語を勉強して臨みたいと思います。ありがとうございました。
上段左より;指導の様子(左、中)とブタ胃モデルを使ったクリップの実習の様子(右)
下段左より;修了書の授受、個別指導、内視鏡的止血手技の講義の様子
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